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日本画の制作で重要な隈取りについて

美人画や風景画、花鳥画など、日本画を描く際の表現技法の1つに隈取りがあります。

隈取りとは

隈取りとは、画面に描いた墨が乾く前に、水を含ませた筆やハケを用いてぼかしていく技法です。陰影の濃淡や立体感、高低、凹凸、遠近、質感、重量、形態の強調など、対象物の様々な特徴をぼかしによって表現していきます。隈取りには種類があり、入れる場所や方法によって異なります。

例えば「外隈(そとぐま)」は、対象を白く浮き立っているように表現する技法で、描かれた対象物の外側をぼかしていきます。

「照隈(てりくま)」は下地より明るい色でぼかしていく方法で、「かげ隈」は、対象物の陰影を表現する方法です。また、入れた線の片方をぼかす方法を「片ぼかし」と言います。

隈取りに使われる筆

墨を塗る筆や描く際の筆とは別に、隈取りでぼかしを入れる時には隈取筆という専用の筆があります。隈取筆は穂が太くて丸みを帯び、水分をたっぷり含むことができるのが特徴で、スジのない美しいぼかしを描くことができます。

隈取筆の他、先が利かずに使えなくなった色彩用の筆を代用するという方法もあります。使用後は水やぬるま湯でしっかり洗ってよく水分を切り、直射日光の当たらない風通しの良い場所で、乾いたタオルなどの上に寝かせて乾かします。

制作工程の中の隈取り

日本画の制作工程はまずデッサンをして少下図、大下図で整えていき、トレーシングペーパーで転写します。転写後は墨で輪郭線を引く骨描きを行い、その後、隈取りの工程に移ります。

隈取りの後に彩色をして完成となります。陰影の濃淡など、隈取りは色彩に影響するので、はじめのうちは影響がない程度の薄さの墨で隈取りするのがポイントです。はじめは上手く隈取りができないかもしれませんが、できるようになると表現の幅が大きく広がります。

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